寄付を行った場合の税金について

画像: 寄付を行った場合の税金について

寄付を検討している方の中には、NPO法人などを支援することにより、税金の控除を受けられるといった話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?

個人が寄付を行った場合は、条件を満たすことで「寄付金控除(所得控除)」or「税額控除」のどちらかを選択可能。
寄付を行うことにより、所得税といった税金の控除を受けられます。

一方、法人が行う寄付に関しては、そのお金を損金として算入できます。
損金算入とは、法人が使用した費用を必要経費として会計処理すること。
これにより、本来支払う予定だった税金を支援したいと思う団体への寄付に充てられます。

とはいえ、寄付による税金の控除を受けるためには、個人・法人ともに適切な確定申告を行わなければいけません。
仮に、寄付したことを証明する書類の提出を忘れてしまうと、税金の控除は受けられないので注意してください。

そこで、今回は寄付による税金の控除とはどんなものなのか、「個人が受けられるもの」・「法人が受けられるもの」それぞれを解説。
また、控除額・損金算入限度額の計算方法や、確定申告時に必要な書類についても紹介します。

寄付することで受けられる税金の控除について詳しくなり、寄付上手な支援者を目指しましょう!

個人が支援した場合の優遇処置

画像: 個人が支援した場合について

個人が寄付を行った場合、「寄付金控除(所得控除)」or「税額控除」といった税金の控除を受けられます。

税金の控除とは、簡単に言うと支払う予定だった税金が差し引かれるということ。
寄付金控除・税額控除どちらを選んでも、所得税(※)から一定の金額が差し引かれることになります。
(※ 所得税とは、個人が1月1日~12月31日までの1年間に得た利益に対して課税されるもの)

しかし、これらの税金の控除を受けるためには、「国や地方自治体、NPO法人などに対して年間で2,000円以上の寄付を行う」という条件をクリアしなければいけません。
この条件を達成しない限り、寄付金控除は受けられないので注意してください。

しかも、税額控除に関しては、認定NPO法人や公益社団法人に寄付を行わないと受けられません。
なので、認定NPO法人などに寄付を行った場合のみ、寄付金控除と税額控除のどちらかを選択できると覚えておきましょう。

仮に、認定NPO法人に対して寄付を行ったとすると、基本的には税額控除の方式で税金の控除を受けるのがおすすめ。
これは、寄付金控除で受けられる税金の控除と比較して、より減税額が大きくなる可能性が高いからです。

とはいえ、もし収入(課税所得金額)が数千万円もある方であれば、寄付金控除を選択する方が減税額は大きくなるかもしれません。
よって、どちらの方式で税金の控除を受けるかは、しっかりと吟味してから選択するようにしましょう。

ちなみに、寄付で控除が受けられると言っても、当然ながら驚くほど税金が差し引かれるという訳ではありません。
あくまでも、寄付は誰かを助けたいという気持ちのもと行うものであり、結果として税金の控除が受けられるだけなので忘れないでください。

控除額の計算方法を例とともに紹介

ここでは、個人が寄付した際に受けられる「寄付金控除」・「税額控除」の計算方法を例とともに紹介します。

寄付金控除の計算方法

画像: 寄付金控除の計算方法について

まずは、寄付金控除の計算方法を紹介します。

寄付金控除を求める際に用いる計算式は以下の通りです。

  • 年間で支出した寄付金の合計額(※) – 2,000円 = 控除額

(※ 総所得金額等の40%相当額が限度)

例えば、年収500万円のAさん(課税所得金額は150万円)と、年収1,000万円のBさん(課税所得金額は600万円)が、それぞれ年間で10万円ずつ寄付したとします。
この場合、どちらも寄付金控除の方式で税金の控除を受けたとすると、控除額は以下のようになります。

  • Aさん:100,000円 – 2,000円 = 98,000円
  • Bさん:100,000円 – 2,000円 = 98,000円

上記の計算式に当てはめると、一見どちらも98,000円もの税金が控除されるように思えますが、そうではありません。
これは、寄付金控除の場合、「課税所得」から控除額が差し引かれることになるため。
そのため、仮にAさんの所得税率が5%、Bさんの所得税率が20%だったとすると、結果的に受けられる税金の控除は、以下の通りです。

  • Aさん:(1,500,000円×5%) – [(1,500,000円-98,000円)×5%] = 4,900円
  • Bさん:(6,000,000円×20%) – [(6,000,000円-98,000円)×20%] = 19,600円

上記の通り、寄付金控除の方式で税金の控除を受ける場合、年収の高いBさんの方がより減税額が大きいです。

税額控除の計算方法

画像: 税額控除の計算方法について

税額控除を求める際に使う計算式は、以下の通りです。

  • (年間で支出した寄付金の合計額(※) – 2,000円)×40% = 控除額

(※ 総所得金額等の40%相当額が限度)

仮に、Aさんが年収400万円(課税所得金額は150万円)、Bさんが年収800万円(課税所得金額は400万円)だったとします。
この場合、それぞれが年間で5万円を寄付したとすると、税額控除の方式で受けられる税金の控除は以下のようになります。

  • Aさん:(50,000円 – 2,000円) ×40% = 19,200円
  • Bさん:(50,000円 – 2,000円) ×40% = 19,200円

当然、どちらも19,200円の控除が受けられる訳ではありません。
税額控除に関しては、受けられる控除に「所得税額の25%を限度とする」という上限が定められています。

Aさんの所得税額は、「1,500,000円(課税所得金額)×5%(所得税率) = 75,000円」。
Bさんの所得税額は、「4,000,000円(課税所得金額)×20%(所得税率) = 800,000円」です。
この所得税額を用いると、各々が受けられる税額控除の限度額がわかります。

  • Aさん:75,000円×25% = 18,750円
  • Bさん:800,000円×25% = 200,000円

そして、先ほど算出した税額控除の金額と、限度額を比較した結果が以下の通りです。

  • Aさん:19,200円 > 18,750円
  • Bさん:19,200円 < 200,000円

上記の通り、Aさんは限度額以上の寄付を行っているのに対し、Bさんは限度額に達していません。
なので、Aさんが受けられる税額控除の金額は「18,750円」・Bさんが受けられる税額控除の金額は「19,200円」となります。

参考:寄附金を支出したとき | 国税庁

法人が寄付した場合の優遇処置

画像: 法人が寄付した場合の優遇処置について

法人が寄付を行った場合は、そのお金を損金として算入することができます。

損金算入とは、法人が売上を上げるために使った費用を必要経費として会計処理すること。
この損金には法人税が課されないため、実質的に税金の控除を受けられることになります。

ただ、寄付金の種類によって、損金算入できる金額(損金算入限度額)が異なる点には注意が必要です。
これは、仮に支出した寄付金全てを損金として認めてしまうと、所得の分散を容易に図れるため。
税金対策を目的に寄付が行われることを防ぐため、損金算入限度額が設けられているという訳です。

そんな法人による寄付ですが、交際費や接待費とは全く違った性質を持っています。

例えば、取引先に無償で金品を贈与したとします。
この場合、たとえ名目が寄付であったとしても、交際費や接待費として会計処理を行わなければいけません。

寄付とは、リターンを求めず金品を贈与すること。
取引先への寄付は、「将来的に売上を上げるための出費」としてみなされ、損金には算入できないので注意してください。

ちなみに、個人事業主の方が寄付を行った場合、損金算入は行えません。
基本的には、寄付金控除 or 税額控除といった税金の控除が適用されるので、覚えておきましょう。

種類によって異なる損金算入限度額の計算方法

画像: 損金算入限度額の計算方法について

上述した通り、法人が行う寄付は、対象によって損金として算入できる金額に限度があります。
法人による寄付金の種類は、以下の通りです。

  • 国等に対する寄附金及び指定寄附金
  • 特定公益増進法人に対する寄附金
  • 一般の寄附金

国等に対する寄附金及び指定寄附金」とは、国や地方自治体、または財務大臣が指定した団体に対する寄付金のこと。
これらを対象とした支援に関しては、国への貢献度が高いことから、全ての寄付金を損金として算入できます

続いて、「特定公益増進法人に対する寄附金」とは、認定NPO法人を始め、教育や文化の向上に大きく貢献する団体への寄付金のことです。
この寄付金には、損金算入限度額が設けられています。

仮に、支援の対象が認定NPO法人だった場合、損金算入限度額は以下の計算式で求められます。

  • [資本金等の額 ×当期の月数/12×3.75/1,000+所得の金額×6.25/100] × 1/2 = 損金算入限度額

例えば、資本金等の額が3,000万円、所得の金額が4,000万円だったとします。
この場合、損金算入限度額は以下の通りです。

  • [3,000万円 ×12/12×3.75/1,000+3,500万円×6.25/100] × 1/2 = 115万円

上記の通り、損金算入限度額の計算方法は、そこまで複雑ではありません。

最後に、「一般の寄附金」とは、上記2つに当てはまらない全ての寄付金のことです。
具体的には、町内会や神社・寺などへの寄付は、一般の寄付金に該当します。

この一般の寄付金は、国への貢献性が上記2つと比較して低いため、損金に算入できる金額が多くありません。
もし、法人が町内会などに寄付を行ったとすると、以下の計算式を用いて損金算入限度額を計算することになります。

  • [資本金等の額 ×当期の月数/12×2.5/1,000+所得の金額×2.5/100] × 1/4 = 損金算入限度額

先ほどの例をこの計算式に当てはめると、損金算入限度額は以下のようになります。

  • [3,000万円 ×当期の月数/12×2.5/1,000+3,500万円×2.5/100] × 1/4 = 237,500円

このように、認定NPO法人などへの寄付と比べると、損金に算入できる金額が大幅に低くなります。

参考:寄附金を支出したとき | 国税庁

税金の控除を受けるために踏むべき手続き

画像: 税金の控除を受けるための手続きについて

個人・法人に関わらず、寄付による税金の控除を受けるためには、確定申告を行わなければいけません。
これは、仮に給与所得者(サラリーマンやアルバイター)であったとしても同様です。

とはいえ、必要な手続きは非常にシンプル。
基本的には、以下の2点を行えば、寄付による税金の控除が適用されます。

  • 確定申告書内にある「寄付金控除」または「税額控除」に関する事項を記載する
  • 寄付先から受け取る領収書を確定申告書に添付 or 直接提出する

(※ 認定NPO法人や特定公益増進法人に対する寄付を行った場合は、その法人が適格であることを証明する書類の添付 or 提出が必要です)

税金の控除を受けるための手続きは、上記の2点だけ。
そのため、普段から確定申告を行っている方であれば、大した手間にはならないことでしょう。

ただ、そうではない方にとって、寄付の税金控除を受けるためにわざわざ確定申告を行うのは大変だと思います。
寄付した金額や回数によっては、確定申告に掛ける手間と受けられる控除が見合わないこともあるでしょう。

しかし、税制の優遇処置を活用した寄付は、「税金の使い道を自身で選ぶこと」に他なりません。
自身の寄付体験を振り返るという意味においても、確定申告を行うことをおすすめします。