相続財産の寄付で受けられる特例措置について

画像: 相続財産の寄付で受けられる特例措置について

遺産の寄付に関して記された遺言を故人から受け取った、もしくは相続したものを特定の団体に贈与しようと考えている方も多いと思います。
ただ、この際に気になるのが相続税は掛かるのかといったところですよね?

結論から言うと、受け継いだ遺産を一定の条件下で寄付した場合に限り、相続税は非課税となります。
設けられている条件は、「期限内に寄付を行う」・「決められた組織に寄付をする」など様々。
寄付による相続税の非課税措置を受けるためには、全ての条件をクリアする必要があるため、しっかりと確認しておくようにしましょう。

この寄付の特例措置ですが、適用されるのは相続税に対してだけではありません。
なんと、特定の状況下においては、寄付によって所得税の控除も受けられます!
そのため、故人から受け継いだ財産を寄付すれば、「相続税の非課税措置」+「所得税の控除」を受けられるという訳です。

今回は、遺産を寄付することで適用される相続税の非課税措置について、クリアしなければならない条件や注意点を紹介。
また、どういった状況下だと、寄付による所得税の控除を受けられるのかも紹介します。

そして、寄付の特例措置を受けるための具体的な手続きについても紹介しているので、ぜひご覧ください!

相続財産の贈与は課税の対象外

画像: 相続財産の贈与について

通常、相続した遺産総額が一定以上の金額を超える場合、税金が掛かります。
この税金が相続税というものです。

相続税が掛かるのは、以下の基礎控除額を超えた場合に限ります。

相続人の人数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

参照:財産を相続したとき | 国税庁

上記の通り、相続税を納める必要がない基礎控除額のラインは、遺産を受け継ぐ方の人数によって変わります。

当然ながら、基礎控除額を超える遺産を相続した場合は、相続税を納めなければいけません。
また、相続税の申告も必要になるので、覚えておきましょう。

しかし、受け継いだ遺産を特定の条件下で寄付することにより、相続税に関する特例措置が適用されます。
それが、相続税の非課税措置というものです。

非課税措置とは、本来であれば納めなければならない相続税が課税の対象外となること。
わかりやすく言うと、相続税が掛からなくなるということです。

故人から相続した遺産総額によっては、最大55%もの税率が掛かってしまいます。
仮に、支援したいと思う団体があるのなら、相続税を納めるのではなく、寄付を行うという選択をしてみてはいかがでしょうか?

クリアしなければならない条件

画像: クリアしなければならない条件について

遺産を寄付することにより、相続税を非課税にするためには、いくつかの条件をクリアしなければいけません。

  1. 寄付した財産が相続や遺贈によって獲得したものであること(生命保険や退職手当金も含まれる)
  2. 遺産を相続税の申告書の提出期限までに寄付すること
  3. 寄付先が国・地方公共団体・特定公益増進法人であること

クリアしなければならないとは言っても、1つ目の条件は特に難しいものではないでしょう。
ただ、2つ目の条件に関しては要注意です。

上述した通り、相続税を納める必要がある場合、申告書を提出しなければいけません。
この申告書の提出期限は、「故人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内」です。

仮に、2月1日に亡くなったとすると、その年の12月1日までに申告書を提出する必要があるということ。
当然、提出期限までに寄付を行わないと、相続税が掛かることになるので注意してください。

また、3つ目の条件である寄付先に関しても、しっかりと把握しておくことをおすすめします。

きっと、特定公益増進法人がどんな組織なのか、あまりイメージが湧かない方も多いと思います。
特定公益増進法人とは、教育や科学の振興、文化の向上や社会福祉など、公益の増進に貢献する組織のこと。
例を挙げると、以下のような組織が特定公益増進法人に該当します。

  • 認定NPO法人
  • 公益社団法人
  • 国立大学法人/公立大学法人
  • 自動車安全運転センター
  • 日本司法支援センター

要は、営利を考えず、人のために活動する団体や組織のこと。
特定公益増進法人によって活動内容は多種多様なので、ぜひ応援したいと思えるような団体を探してみてください。

特定公益増進法人への寄付は要注意

画像: 特定公益増進法人への寄付について

相続税の非課税措置を考え、特定公益増進法人へ遺産を寄付する場合、上で紹介した条件以外にもいくつか気を付けなければいけないことがあります。

  1. 特定公益増進法人の設立を助けるための寄付だった場合
  2. 特定公益増進法人が寄付を受けてから2年後までに特定公益増進法人ではなくなった場合
  3. 特定公益増進法人が寄付を受けてから2年後までに受け取った寄付金を公益事業に使用していなかった場合

仮に、これら3つの内どれか1つにでも該当してしまうと、寄付を行っても相続税が非課税になることはありません

相続税が非課税となるのは、特定公益増進法人が行う「公益的な活動」を支援する目的で寄付した場合のみ。
なので、特定公益増進法人の設立を支援するための寄付に関しては、相続税の課税対象になってしまいます。

そして、特定公益増進法人が寄付を貰った日から2年経過するまでに「特定公益増進法人に該当しなくなった場合」も同様です。
また、寄付を受け取ってから2年後までに、その特定公益増進法人が公益事業費に寄付金を充てていなかった場合も相続税が掛かることになるので覚えておきましょう。

参考:No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき | 国税庁

所得税の控除も受けられる

画像: 所得税の控除について

遺産を寄付することにより、適用されるのは相続税の非課税措置だけではありません。
特定の条件下では、寄付によって所得税の控除も受けられます。

特定の条件とは、「国や地方公共団体、認定NPO法人に対して2,000円以上の寄付を行う」というシンプルなもの。
この条件であれば、相続財産の寄付を考えているほとんどの方がクリアできることでしょう。

そんな所得税の控除には、2つの種類があります。
それが、「寄付金控除」と「税額控除」というものです。

どちらも、支払う予定だった所得税から一定額が差し引かれることに変わりありません。
ただ、税額控除を選択できるのは、認定NPO法人へ寄付を行った場合に限るので注意してください。

参考:寄附金を支出したとき | 国税庁

必要な手続きについて

画像: 必要な手続きについて

寄付による相続税の非課税措置を受けるために必要な手続きは非常にシンプル。
基本的には、寄付先から受け取った「寄付金受領証明書(※)」を相続税の申告書に添付して提出するだけで問題ありません。
(※ 寄付先によっては、相続財産受領証明書や証明書といった名称になっていることもあります)

ただ、寄付金受領証明書に以下のような情報が記載されているか、しっかりと確認しておくようにしましょう。

  • 寄付を受けた旨
  • 寄付を受けた日付
  • 寄付財産の明細
  • 寄付財産の使途

仮に、これらの情報が寄付金受領証明書に記載されていなかった場合は、寄付先に問い合わせてみてください。

ちなみに、所得税の控除を受けるための手続きも簡単です。

まずは、確定申告書内にある「寄付金控除」or「税額控除」に関する事項を記載。
その後、確定申告の期日までに寄付金受領証明書を添付した確定申告書を提出するだけなので、手続きがわからず困ることはないでしょう。