日本における寄付の文化について

画像: 日本の寄付文化について

社会に貢献できたり、幸福度が増したりと様々なメリットがある寄付。
実際のところ、日本では寄付の文化がどれほど浸透しているのか、気になる方もいるのではないでしょうか?

実は、アメリカやイギリスと比較してみると、日本における寄付の文化はあまり浸透していないと言えます。
これは、アメリカやイギリスなどと比べて、日本の寄付者の数が圧倒的に少ないため。
また、1人当たりの平均金額も比較的低いことから、日本では寄付の文化が定着していないと言えるでしょう。

しかし、歴史を振り返ると、決して日本に寄付の文化がなかった訳ではありません。
寄付という概念が日本で初めて生まれたのは奈良時代。
1,200年以上も前から概念は存在していて、長らく身近なものとして寄付は行われていたそうです。

今回は、そんな日本の寄付の文化について、他国と比較することで判明した実情を紹介。
また、歴史を振り返ることにより、日本の寄付の文化を深く掘り下げていきます。

さらに、寄付の文化を広めるに当たり解決すべき課題も紹介するので、ぜひ最後まで見てみてください!

海外と比較した市場の実情

画像: 海外との比較結果について

海外と比較すると、日本は寄付の文化が定着しているとは言えません。

寄付文化の浸透を目標としている「日本ファンドレイジング協会」では、日本における寄付市場の実態を調査。
2016年に行われた調査結果を見てみると、アメリカやイギリスと比較して、寄付市場の規模が非常に小さいことが判明しました。

 日本アメリカイギリス韓国
総額7,756億円30兆6,664億円1兆5,035億円6,736億円
1人当たりの
寄付金平均額
27,013円125,664円74,400円9,095円
名目GDP比0.14%1.44%0.54%0.50%

出典:寄付白書2017 | 日本ファンドレイジング協会

表の通り、アメリカやイギリスでは、寄付によって兆を超えるほどのお金が動いています。

反対に、日本の場合、寄付で動いたお金の総額は7,756億円。
イギリスに比べて倍近くの人口を誇っているのにもかかわらず、2016年に日本で動いた寄付金の総額はイギリスの約1/2です。
このことから、アメリカやイギリスは寄付の文化が日本以上に浸透していると言えるでしょう。

しかも、名目GDP比に関しては、韓国よりも低い数値です。
名目GDP比の値を韓国と日本で比較してみると、その差は約3.5倍。
これらを踏まえ、日本ではいかに寄付の文化が定着していないのかわかると思います。

ちなみに、人口に対して寄付を行っている方の割合(寄付者率)が最も高い国は、発展途上国であるミャンマーです。
なんと、ミャンマーの寄付者率は約9割。
国民のほとんどが日常的に寄付を行っているそうです。

寄付は経済的に余裕がある方のみが行うものではなく、1人1人ができる範囲で行うもの。
ミャンマーでは、こういった意識が根付いていることから、寄付の文化が浸透しているのでしょう。

昔から助け合いの精神はある

画像: 助け合いの精神について

寄付の文化が他国と比べて浸透していない日本。
ただ、寄付の歴史が浅い訳ではありません。

日本で寄付の概念が誕生したのは約1,200年前の奈良時代。
治水や橋・道路などを建設する公共事業のため、仏教僧が民間人から「奉加(ほうが)」と呼ばれる寄付集めを行ったのが始まりとされています。

それから、時代は権力争いが激化した中世に移り変わります。
この時代に、「頼母子講(たのもしこう)」という相互扶助のシステムが生まれたそうです。

頼母子講とは、小さな集団の中で金銭を貯蓄し、貧困者に貯めた金銭を与えるというシステムのこと。
この相互扶助は、限りなく寄付に近い機能を持っています。

頼母子講といった相互扶助のシステムが生まれた要因は様々。
そもそも日本が島国であったこと、また生まれた地で農業を行い人生を終える生き方が主流であったことも理由の1つとして挙げられます。
こういった「地縁」による助け合いの精神が長く日本の寄付文化を支えてきたという訳です。

当然ながら、地縁による相互扶助の概念が薄れた現代でも、日本には寄付の文化が残っています。

記憶に新しいのは、2011年の東日本大震災。
震災直後、多くの国民が被災地に寄付を行いました。
このように、他国と比較してまだまだ規模は小さいものの、決して「日本人 = 寄付を行わない」という訳ではないのです。

解決すべき課題を紹介

画像: 解決すべき課題について

寄付の文化を広めるに当たり、解決すべき課題はいくつかあります。
寄付文化の浸透において、以下3つの課題はクリアすべきでしょう。

  • 寄付税制の改善
  • 寄付に関する教育
  • 団体の信頼性の向上

寄付の税制に関しては、年々良くなってきています。
例えば、認定NPO法人の基準が緩和されたり、税額控除を受けられるようになったりと、実施された税制の改善は様々です。

ただ、税金の控除を受けるために確定申告が必要な点は、寄付文化の定着において解決すべき課題と言えます。
給与所得者にとって、寄付金控除による還付を受けるための確定申告は大きな手間。
仮に、年末調整の時点で税金の控除を受けられれば、寄付に対するモチベーションが上がる方は多いことでしょう。

また、寄付に関する教育が行われていないところも、文化を広める上で解決必須の課題です。

現在、日本の義務教育では、寄付がどういったものなのか教えていません。
もちろん、教えられなければ、寄付への興味や関心は生まれないことでしょう。

文化を広めるに当たり、学生時代から寄付に触れる機会を設けることは非常に大切。
もし、日本の義務教育で寄付に関連する授業を行えば、将来的に市場の規模が大きくなるかもしれません。

そして、寄付文化の浸透を図るなら、各団体の信頼性を上げる必要があると思います。

寄付とは、リターンを顧みず大切なお金や物を贈与する行為のこと。
当然ながら、信頼できない団体に対して、寄付したいと考える方はいないことでしょう。

そこで大切なのが、各団体の信頼性の向上です。
貰ったお金の使い道を明確にしたり、活動報告をしっかりと行ったりと、寄付者から信頼を得るために行うべきことはたくさんあります。
こういった取り組みにより、各団体の信頼性が上がれば、結果として寄付文化の浸透に繋がることは間違いないでしょう。