ここからは、寄付金控除・税額控除によって受けられる控除額の計算方法を紹介します。
具体例とともに紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
寄付金控除の計算方法
寄付金控除を求める上で使う計算式は以下の通りです。
- 年間で支出した寄付金の合計額(※) – 2,000円 = 控除額
(※ 総所得金額等の40%相当額が上限)
今回、実際に控除額を計算するに当たって用いる具体例は以下にまとめています。
- Aさんの年収:400万円(課税所得金額は150万円)
- Bさんの年収:1,200万円(課税所得金額は800万円)
- Aさんの所得税率:5%
- Bさんの所得税率:23%
(※ 参照:No.2260 所得税の税率 | 国税庁)
仮に、両者ともに年間で5万円の寄付を行ったとすると、受けられる控除額は以下のようになります。
- Aさん:50,000円 – 2,000円 = 48,000円
- Bさん:50,000円 – 2,000円 = 48,000円
もちろん、どちらも48,000円の控除が受けられる訳ではありません。
上述した通り、寄付金控除とは、所得金額から所得税が差し引かれるもの。
なので、結果的に受けられる控除額は、全く違った金額になります。
- Aさん:(1,500,000円 × 5%) – [(1,500,000円 – 48,000円) × 5%] = 2,400円
- Bさん:(8,000,000円 × 23%) – [(8,000,000円 – 48,000円) × 23%] = 11,040円
Aさんが「2,400円」の控除を受けられるのに対し、Bさんは5倍近い「11,040円」。
このことから、寄付金控除の方式を選択すると、より年収の高いBさんの方が減税額が大きくなることがわかります。
税額控除の計算方法
税額控除を求める際に用いる計算式は、以下の通りです。
- (年間で支出した寄付金の合計額(※) – 2,000円) × 40% = 控除額
(※ 総所得金額等の40%相当額が上限)
税額控除の計算においても、先ほどの例を使用します。
もし、AさんとBさんそれぞれが認定NPO法人などに10万円を寄付したとすると、以下のような結果になります。
- Aさん:(100,000円 – 2,000円) × 40% = 39,200円
- Bさん:(100,000円 – 2,000円) × 40% = 39,200円
当然ながら、両者ともに39,200円の控除が適用される訳ではありません。
というのも、税額控除には、「所得税額の25%を控除額の上限とする」という条件が定められているためです。
Aさんの所得税額は、75,000円(1,500,000円×5%)。
一方でBさんの所得税額は、1,840,000円(8,000,000円×23%)です。
それぞれの所得税額をもとに、税額控除の限度額を算出した結果は以下にまとめています。
- Aさん:75,000円 × 25% = 18,750円
- Bさん:1,840,000円 × 25% = 460,000円
Aさんが受けられる控除の限度額は18,750円。
対して、Bさんの場合は460,000円もあります。
それでは、この限度額と先ほど算出した税額控除の値を比較してみましょう。
- Aさん:39,200円 > 18,750円
- Bさん:39,200円 < 460,000円
上記の通り、Aさんは限度額以上の寄付を行っているのに対し、Bさんは限度額までまだまだ余裕があります。
そのため、税額控除によってAさんは「18,750円」・Bさんは「39,200円」の控除を受けられるという訳です。