寄付金控除と税額控除はどちらがおすすめ?

画像: 寄付金控除と税額控除について

特定寄付金を支出することで適用される寄付金控除 or 税額控除。
寄付による控除を受けるに当たり、どちらの方式を選択するべきなのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

寄付金控除とは、所得金額から所得税が差し引かれるもの。
一方で税額控除とは、税額から所得税が差し引かれるものです。
双方とも、支出した寄付金の額に応じて、所得税が差し引かれる控除制度となります。

当然ながら、寄付の控除制度が2種類あるということは、それぞれで違いがあるということです。
例えば、「対象となる寄付」・「所得税が差し引かれるタイミング」が異なるところは、寄付金控除と税額控除の違いとして挙げられます。
それだけでなく、寄付金控除と税額控除では、計算方法も異なるので覚えておきましょう。

では、どちらの方式で寄付の控除を受ける方が良いかと言うと、基本的には税額控除がおすすめ
これは、寄付金控除と比べて、より多くの還付を受けられる可能性が高いためです。
とはいえ、収入によっておすすめの方式は異なるため、しっかりと吟味する必要があります。

そこで、今回は寄付金控除と税額控除ではどちらを選択する方が良いのか、それぞれの違いを踏まえて解説。
各制度の概要を紹介することに加え、どういった違いがあるのか、またおすすめの方式はどちらなのか紹介します。

寄付金控除と税額控除について詳しくなれば、よりあなたにメリットのある方式で所得税の還付を受けられることでしょう!

寄付金控除と税額控除の違いについて

個人が特定の寄付を行うと、「寄付金控除」or「税額控除」を受けられます。

寄付金控除とは、別名で「所得控除」とも呼ばれ、「所得金額(※)」から所得税が差し引かれるもの。
(※ 所得金額とは、収入から給与所得控除などの必要経費を引いて算出したもの)
一方、税額控除とは課税所得金額と所得税率を掛けて算出した「税額」から所得税が差し引かれるものです。
どちらとも、寄付によって一定額の所得税が安くなるという点には違いがありません。

ただ、2種類の控除制度が設けられているということは、それぞれに違いがあるということです。
ここからは、寄付金控除と税額控除の大きな違い計3つを紹介します。

所得税が差し引かれるタイミング

画像: 控除のタイミング

まず、寄付金控除と税額控除では、所得税が差し引かれるタイミングに違いがあります。

上述した通り、寄付金控除とは「所得金額」から所得税が差し引かれる制度のことです。
一方で税額控除とは、「税額」から所得税が引かれる制度のこと。
寄付金控除と税額控除で異なる控除のタイミングは、以下の画像で確認できます。

画像: タイミング

画像を見てもわかる通り、寄付金控除と税額控除では、所得税が差し引かれるタイミングが全く違います。

寄付金控除のタイミングは、比較的に早い段階。
反対に、税額控除の場合は「所得税額」を算出する直前が控除のタイミングとなります。
要は、「寄付金控除 = 所得税率を掛ける前の所得金額を減らす」・「税額控除 = 所得税率を掛けた後の税額を減らす」といった違いがあるという訳です。

対象の団体

画像: 対象の団体

控除の対象に当たる寄付先が異なるところも、寄付金控除と税額控除の大きな違いの1つです。

寄付金控除が受けられるのは、「特定寄付金」を支出した場合のみ。
特定寄付金とは、国や地方公共団体、認定NPO法人に対する寄付金のことです。

特定寄付金に該当するのは、以下の団体・組織・活動に対して年間で2,000円以上の支援を行った場合に限ります。

  • 国や地方公共団体
  • 公益社団法人や公益財団法人
  • 認定NPO法人
  • 特定公益増進法人
  • 特定公益信託
  • 政治活動

基本的には、国・公益社団法人・認定NPO法人などに対して、リターンのない寄付を行うことで寄付金控除が適用されると覚えておけば問題ありません。

ただ、上記6種類の中で、「特定公益増進法人」がいまいちわからないと感じた方も多いと思います。

特定公益増進法人とは、教育・科学・文化・福祉の発展や向上に大きく貢献する団体のこと。
例を挙げると、独立行政法人や自動車安全運転センターなどが挙げられます。
こういった社会を良くするために活動する非営利な団体への支援も、寄付金控除の対象です。

一方で税額控除の対象は、寄付金控除と比べて非常に限定的。
税額控除が適用されるのは、「認定NPO法人」・「公益社団法人/公益財団法人」・「政治活動」に対して年間で2,000円以上の寄付を行った場合のみです。

要は、認定NPO法人などに寄付を行わない限り、控除の方式は選択できないということ。
税額控除の対象に該当する団体へ寄付を行うことで、初めて寄付金控除・税額控除のどちらかを選べるので覚えておきましょう。

各々の計算方法

画像: 各々の計算方法

最後に紹介するのは、寄付金控除と税額控除の計算方法の違いです。

まず、寄付金控除の計算では、以下の公式を用います。

画像: 公式1

そして、税額控除の公式は、以下の通りです。

画像: 公式2

今回は、以下の例をもとに、寄付金控除と税額控除の金額を計算していきます。

画像: ケース

仮に、認定NPO法人に対して年間で10万円の寄付を行ったとすると、寄付金控除と税額控除の金額は以下のようになります。

画像: 計算結果

今回の例だと、寄付金控除では「98,000円」・税額控除では「39,200円」の控除を受けられることがわかります。

一見、寄付金控除を選択する方が多くの還付(控除)を受けられるように思えますが、そうではありません。
これは、寄付金控除の場合、所得金額から所得税が差し引かれるため。
そのため、最終的な控除額を計算するには、寄付金控除を受けなかった場合の所得税額の値と比較する必要があります。

上記のケースで紹介した通り、控除を受けなかった場合の所得税額は75,000円。
この値から寄付金控除を受けた場合の所得税額を引けば、最終的な控除額を算出できます。

画像: 計算結果2

画像の通り、寄付金控除を選択すると、最終的に「4,900円」の控除を受けられます。

一方で税額控除の場合も、39,200円もの金額が所得税から差し引かれる訳ではありません。
この理由は、税額控除に「所得税額の25%まで」という上限が定められているため。
寄付金控除とは違い、控除額に上限が設けられているので注意してください。

紹介した通り、所得税額の値は75,000円です。
75,000円の25%は「18,750円」。
要は、今回のケースだと、18,750円までしか税額控除を受けられないということです。

では、先ほど算出した税額控除の値と、上限である18,750円を比較してみます。

  • 39,200円 > 18,750円

今回のケースでは、税額控除の上限以上の寄付を行っていることがわかります。
なので、税額控除では「18,750円」の控除を受けられることになります。

どちらを選ぶ方が良い?

画像: どちらを選ぶ方が良いのか

全く違った特徴を持つ寄付金控除と税額控除。
もし、認定NPO法人などに寄付を行った場合、どちらを選択する方が良いのか、気になる方は多いのではないでしょうか?

結論から言うと、ほとんどのケースでは税額控除を選ぶのがおすすめ
これは、寄付金控除と比べて、多くの方がより高額な還付を受けられる可能性が高いためです。

とはいえ、必ず税額控除を選択する方が良いという訳ではありません。
収入(課税所得金額)によっては、寄付金控除を選ぶ方が多額の還付を受けられることもあります。

では、収入がいくらあれば寄付金控除を選択する方が良いかと言うと、課税所得金額が4,000万円以上ある場合です。

4,000万円以上の課税所得金額に掛かる所得税率は45%(※)。
所得税率が40%を超えると、寄付金控除の方が多くの還付を受けられることになります。
(※ 参照:No.2260 所得税の税率 | 国税庁)

仮に、所得税率が40%であれば、寄付金控除と税額控除の金額は同じになるということ。
したがって、寄付金控除と税額控除のどちらを選択するべきなのか悩んだ際は、「所得税率が40%を超えるかどうか」を基準に選ぶようにしてください。

参考:寄附金を支出したとき | 国税庁