上述した通り、寄付の控除には2つの種類があります。
2種類あるということは、それぞれで計算方法が異なるということ。
ここでは、例を交えながら、寄付金控除・税額控除の計算方法をわかりやすく解説していきます。
寄付金控除の計算方法
寄付金控除の計算時は、以下の公式を用います。

実際に寄付金控除の計算を行うに当たり、今回は以下のようなケースを想定してみます。

仮に、AさんとBさんが認定NPO法人に年間で「5万円」の寄付を行ったとします。
この場合、両者が受けられる寄付の控除額は、以下の通りです。

寄付金控除の方式を選択すると、両者ともに「48,000円」が所得金額から差し引かれることになります。
確定申告書には、この金額を記載するようにしてください。
ただ、「所得金額から48,000円が差し引かれる = 所得税が48,000円安くなる」という訳ではありません。
最終的に、どれだけ所得税が安くなるのか知るためには、寄付金控除を受けなかった場合との比較を行う必要があります。
そこで、行わなければいけないのは、所得税額の計算です。
寄付金控除を受けなかった場合の所得税額は、以下にて確認できます。

後は、上記の計算結果から、寄付金控除を受けた場合の所得税額を引くだけです。

このように、課税所得金額さえわかっていれば、寄付金控除の計算は全く難しくありません。
税額控除の計算方法
税額控除では、以下の計算式を用います。

税額控除の計算においては、以下のようなケースを想定します。

例えば、AさんとBさんが認定NPO法人に年間で10万円の寄付を行ったとします。
これを上記の計算式に当てはめた結果が以下の通りです。

当然ながら、両者とも「39,200円」の控除を受けられる訳ではありません。
これは、税額控除の場合、「所得税額の25%まで」という上限が設けられているため。
なので、税額控除の計算においても、所得税額を求める必要があります。
Aさんの所得税額は、「1,500,000円 × 5% = 75,000円」。
一方でBさんの所得税額は、「4,000,000円 × 20% = 800,000円」です。
これらの所得税額をもとに、限度額を計算した結果は以下にまとめています。
- Aさん:75,000円 × 25% = 18,750円
- Bさん:800,000円 × 25% = 200,000円
上記の通り、Aさんは「18,750円」まで。
Bさんは、「200,000円」までの控除を受けられるということです。
それでは、この限度額と先ほど計算した税額控除の金額を比較してみます。
- Aさん:39,200円 > 18,750円
- Bさん:39,200円 < 200,000円
Aさんは限度額以上の寄付を行っているのに対し、Bさんはまだ余裕があります。
そのため、Aさんは「18,750円」・Bさんは「39,200円」の控除を受けられるという訳です。
参考:寄附金を支出したとき | 国税庁