寄付で使ったお金は損金として扱える?

画像: 寄付と損金の関係について

法人・個人事業主として、寄付を行おうと考えている方も少なくないと思います。
そんな方であれば、寄付で使ったお金を損金として扱えるのか気になりますよね?

損金とは、法人が売上を上げるために使う費用のこと。
「事業から外へ出ていくもの」のことで、広告宣伝費や旅費交通費などが損金に該当します。

結論から言うと、法人が寄付という名目で使ったお金(寄付金)に関しては、損金として扱えます
ただ、個人事業主の場合は、寄付金を損金に算入できないので覚えておきましょう。

では、法人だと全ての寄付金を損金に算入できるかと言うと、そうではありません。
これは、仮に寄付金の全てを損金として認めてしまうと、容易に節税を図れてしまうため。
税金という大切な国の収入源が減ってしまうため、寄付金の種類によって損金算入できる金額に限度が設けられています。

今回は、寄付金と損金の関係とはどういったものなのか、基本的な概要をもとにわかりやすく解説。
また、寄付金の種類で異なる損金算入限度額の計算方法についても紹介します。

法人にとって、寄付を始めとする社会貢献の活動は、CSRの一環として非常に重要。
損金に算入できる寄付金の額をしっかりと把握して、より計画的に寄付による社会貢献の活動を行っていきましょう!

損金算入することが可能!

画像: 損金算入について

損金とは、法人が収益を上げる目的で使用する必要経費のこと。
なんと、この損金には法人税が掛かりません
そのため、税金を安く抑える上で、損金をしっかりと計上できるかは非常に重要です。

以下にて、損金に該当する費用の一例をまとめています。

  • 広告宣伝費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 保険料
  • 雑費

これらに加え、法人が寄付として支出したお金(寄付金)も損金に当たります

ただ、寄付で使ったお金を損金に算入できるのは法人のみです。
仮に、個人事業主が寄付を行ったとしても、そのお金を損金として扱うことはできません。
代わりに、個人事業主が寄付を行った場合は、「寄付金控除」or「税額控除」という税制の優遇処置が適用されることになります。

では、法人が支出した寄付金の全額を損金に算入できるかと言うと、残念ながらそうではありません。
寄付金の種類によって、損金として扱える金額には限度が設けられています(損金算入限度額)。
というのも、大前提として法人は、営利を追い求める組織であるべきだからです。

寄付とは、非営利な団体に対し、見返りを求めず無償で金品を贈与する行為のこと。
この意味からもわかる通り、寄付金は営利を追求する上で必要な支出とは言えません。
法人に必要な経費としてみなされにくいことから、損金算入限度額が設けられているという訳です。

ちなみに、法人が寄付を行った場合は、「寄付金」という勘定科目を用いて会計処理を行います。
この勘定科目は、「接待費」や「交際費」とは全くの別物。
何の見返りもなく、且つ事業と関係のない相手に寄付を行うことで初めて使える勘定科目なので覚えておきましょう。

寄付金の種類で異なる限度額について

法人が支出する寄付金の種類で異なる損金算入限度額。
どんな寄付を行うかによって、損金に算入できる金額の範囲は違います。

寄付金の種類は、主に以下の3つです。

画像: 寄付金の種類

上記3種類の中で、国/地方公共団体への支援金に関しては、その全額を損金に算入可能です。
また、財務大臣が指定した団体への支援金(指定寄附金)も、全額を損金に算入できます。
指定寄附金(※)の例は、以下の通りです。
(※ 指定寄附金とは、公益性・緊急性がともに高いとして、財務大臣が指定した寄付金のこと)

  • 国宝の修復に対する寄付金
  • オリンピックの開催を支援する寄付金
  • 赤い羽根共同募金

これらの支援金の全額を損金に算入できる理由は、他の種類に比べて国への貢献性が高いため。
国のためになる寄付としてみなされるため、損金算入限度額が設けられていないという訳です。

ただ、残念なことに他2種類の支援金には、損金算入限度額が設定されています。

そこで、ここからは特定公益増進法人や認定NPO法人への支援金、一般の支援金とは何なのかを紹介。
加えて、それぞれの損金算入限度額の計算方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

特定公益増進法人や認定NPO法人への支援金

画像: 特定公益増進法人・認定NPO法人への支援金

特定公益増進法人とは、教育・科学・文化の向上に大きく貢献する法人のこと。
例としては、独立行政法人/公益社団法人/自動車安全運転センターなどが挙げられます。

一方で認定NPO法人とは、一定の基準をクリアしているとして、所轄庁に認められた法人のこと。
わかりやすく言うと、活動の内容や実績が認められたNPO法人のことです。

上述した通り、これらに対して支出した寄付金には、損金算入限度額が設けられています。
特定公益増進法人や認定NPO法人への支援金に設定されている損金算入限度額は、以下の計算式で求められます。

  • [資本金等の額 ×当期の月数/12×3.75/1,000+所得の金額×6.25/100] × 1/2 = 損金算入限度額

仮に、資本金等の額が4,000万円、所得の金額が5,000万円だったとします。
この場合、損金算入限度額は以下の通りです。

画像: 特定公益増進法人・認定NPO法人への支援金

画像の通り、計算式に当てはめてしまえば、損金算入限度額は簡単に求められます。

一般の支援金

画像: 一般の支援金

一般の支援金とは、他2種類に該当しない寄付金のこと。
「国・地方公共団体・財務大臣が指定した団体・特定公益増進法人・認定NPO法人」以外への寄付金のことを一般の支援金と言います。
例を挙げると、認定が付いていないNPO法人への寄付金・お寺や神社への寄付金などは、一般の支援金に当たります。

残念なことに、一般の支援金として支出した寄付金は、上記の2種類より損金に算入できる金額が多くありません。
これは、国への貢献性が最も低いためです。

そんな一般の支援金は、以下の計算式で損金算入限度額を算出できます。

  • [資本金等の額 ×当期の月数/12×2.5/1,000+所得の金額×2.5/100] × 1/4 = 損金算入限度額

例えば、「資本金等の額 = 5,000万円」・「所得の金額 = 5,500万円」だったとします。
これらの数値を上の計算式に当てはめると、以下のような結果になります。

画像: 一般の支援金

特定公益増進法人などへの支援金と比較して、資本金等の額・所得の金額は高いにも関わらず、損金算入限度額は低いことがわかります。
なので、損金として扱える寄付金の額を考えると、国や特定公益増進法人、認定NPO法人などに対して支援を行った方が良いでしょう。

参考:寄附金を支出したとき | 国税庁